道外の方にはあまり馴染みがないかもしれませんが、道内ではコンビニエンスストアなどでも売られていて、魚の乾物の中でも鮭とばと並び道産子にとって最もポピュラーと言える珍味 カンカイ。
私としては、小さな頃から食べてきたこともあってカンカイと呼ぶ方がシックリ来るので、あえてこのタイトルにしたのですが、どうやら魚の名称としてはコマイ(氷下魚)が正式なようであります。
生魚としてのカンカイ(コマイ)の外観は、背側が黒褐色、腹側が銀白色で黄色味を帯びていて、大きさは全長約40cmほどになります。
大きく回遊はしないものの、日本海からオホーツク海、千島列島を経て、べ一リング海峡北方に至る北太平洋沿岸に生息する寒流系の魚で、北海道付近が南限の”マダラ・スケトウダラ”と同じ”タラ類”の仲間であります。
コマイ(氷下魚)の名の由来は、漁が行われる厳冬期に氷を割って漁獲(氷下待ち網漁)したことから付いたという説と、アイヌ語の「コマエ(小さな音がする魚)」から付いたという説の二つの説があり、漢字表記の「氷下魚」はおそらく後付けの当て字だと思われます。
一方、カンカイの名前に関してはサハリンのギリヤーク語の「カンカツ」から由来していると言われ、今回初めて知りましたが どうやら「寒海」と書くようで、漁獲時期にピッタリな気がする一方、字面を見ても正直なところ馴染みが無く なんだかピンと来ません。
カンカイは道東、道北を中心とした北海道が主な漁場で、国内における水揚げの大半を道内の漁港が占めており、時期になると地元の釣り人達が狙う魚のひとつにもなっています。
旬は12月後半〜2月下旬の寒さ厳しい真冬の時期で、完全に干して上げてカチカチの乾物にするほか、焼き魚としてホクホクの味を食べる「一夜干し」や、さらに魚肉の練り製品の材料としても使われます。
「カンカイと言えばコレ!」
と個人的に思っているのは、カチカチの珍味として昔から売られている 頭とワタだけを取り除いた”一匹丸ごと”の製品なのですが、最近では開いて骨まで取り除いてあるものや、さらには一口サイズに裂いてあるスティック状のものまで売られています。
あえて邪道とは言いませんが、道北に住んでいた子供のころ、非力ながらもその硬さと格闘し、やっとの思いでその美味しさにありつけた事を考えると、その手軽さが羨ましい気がしますが、反面、剥いてある商品は乾きすぎのモノが多いですし、味が抜けて食感もパサパサ、食べやすさの点においては劣るものの ”一匹丸ごと”のモノの方が 適度な干し加減で乾燥しきっておらず 風味もしっかり保たれていて 何と言っても”一匹丸ごと”がやっぱり美味しいです。
食べやすくなっているカンカイの食べ方については 特に説明の必要がないと思われるので ここでは省略しますが、釘が打てそうなほどに硬いカンカイの食べ方について紹介します。
まず、新聞紙を用意し、自分の前に広げます。(細かい粉が出るため)
そこに木の棒のようなカンカイを持ってきて”げんのう”(カナヅチ)で全体的に叩きます。
いくらか身がほぐれて柔らかくなってきますので、頭側と尾側を持って二つに折り、浮いてきた部分から皮を剥いでいきます。
ただし、”しない”(北海道の方言で「硬い」の意味) カンカイを折るにはそれなりに力が必要で、うまく行かない場合はひねりを加え、ねじり切るような感じでチャレンジしてみて下さい。
実践したことはないのですが、力を使わず簡単に食べたいという方には”ペンチ”を使って 切りながら食べる方法もあるようです。
身を開き、骨から取れるようになった部分から順に身を剥がしていき、多少の小骨も気にせずに食べていきます。
特に何も付けず、そのまま食べても十分に美味しいのですが、「マヨネーズ+唐辛子」や「醤油+唐辛子」を付けて食べても美味しいです。
道内各地、多くの加工場で製造されているカンカイですが、基本的な味付けは”塩”であり、わずかに調味料を使っている製品もありますが、「カンカイ自体の味」と、「使う”塩”の種類」、「干し上げる行程」 が製品としての味を決める大部分で、シンプルが故に誤魔化しも効かず、化学調味料を多めに使用している製品などは、一瞬、美味しいように感じますが、すぐに飽きが来ます。
飽きの来ない、長く食べ続けられてきたホンモノの ”グルメ” とは、素材を活かした単純でシンプルに造られているものであり、仮に近代的な技術がなくても造れるカンカイのようなモノで、きっとその味は未来永劫受け継がれていくはずでしょう。
”一匹丸ごと”のカンカイを食べるにあたっての注意点がいくつかあります。
なかなか折れないからといって無理やり歯で噛んで引っ張ったりしない事。 歯が欠ける危険性があります。
ニオイが独特で思いのほか強く、自ら食べている時はあまり気にならなくても、誰かが近くで食べていたらすぐに気付くほど強力なニオイなので、まわりへの気配りが必要です。
そして、淡白な味であると同時に、ついつい手が止まらなくなってしまう味が「食べ過ぎ」に繋がりやすく、モノが乾物だけにお腹で膨らみますし、結果的に塩分の取り過ぎになってしまいますので、いくら己の自制心に自信があっても あらかじめ食べる量を決めてから食べ始めて下さい。
老若男女、おやつや酒のつまみに最高で、その上カルシウムだって沢山摂れちゃう 北海道発の”クセになる系 B級グルメ”の代表格 カンカイで、北海道の海が作り上げる美味しさを実感して下さい。
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