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2012年05月16日

身欠きにしん

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北海道の日本海沿岸の地域には「鰊御殿」と呼ばれる木造の建造物が北から南まで、海岸線沿いにいくつか点在しいて、文化財に指定されていて保護されている建物もありますし、逆に朽ち果てて無惨な姿の おそらく同世代と思われる建物らしきモノも見かけたりします。
観光名所ともなっている「鰊御殿」は 江戸時代に始まり、明治、大正、昭和三十年代まで続いた、蝦夷地、および北海道の繁栄を築くのに大きく貢献した、”ニシン景気”により 莫大な富を得ることになった番屋の親方により、その隆盛を象徴するがごとく、加工施設と親方の住居、そして労働者である”やん衆”の寝台であった番屋の、より立派でより大きな建物、まさに文字どおりの「御殿」として建てられました。
しかし、大変なにぎわいを見せたニシン漁も、乱獲のせいなのか生態系の変化なのか、昭和三十年代に道南から順にパッタリとニシンが獲れなくなると、栄華を極めた”ニシン景気”も衰退の一途を辿り、徐々に人々も離れて行きました。
ここ数年、産卵期にニシンが海岸に押し寄せて青い海が乳白色に染まる「群来」と呼ばれる現象が、小樽、留萌などの海岸で見られたりして、”ニシン景気”に沸いた かつての漁獲量にはとても及ばないながらも、春になると、日本海沿岸の海では今でも”ニシン漁”が行われています。
北の海辺が沸き立っていた”ニシン景気”の時代から、”ニシン”の保存食として作られていて、今もさまざまな形で、いろんな料理に使われているのが身欠きにしんです。

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身欠きにしんには大きく分けて、よく乾燥させた堅い「本干し(上乾)」と、柔らかい「生干し(ソフト)」の2種類があります。
<本干し>
脂分の多い魚であるニシンを、一週間程度乾燥させたところで頭や腹わたをとり、さらに一ヶ月程度熟成させたモノ。
「本干」の身欠きにしんは、長期間の保存が可能で、凝縮された栄養素をタップリ含んでいます。
戻し方は、米のとぎ汁に一晩から、とぎ汁を取り替えながら2,3日つけて柔らかくし、水でよく洗ってウロコを取ります。
さらに番茶で煮るとアクや臭みが取れて食べやすくなります。
甘露煮、昆布巻き、天ぷら、にしん漬け、大根やふきなどの野菜と一緒に煮物にしても美味しいです。

<生干し>
まる一日程度の干し時間により、柔らかい半生の状態に仕上げたモノ。
戻す必要が無く、すぐに使えて簡単に調理出来ます。
グリル等で軽く焼いても良いですし、天ぷらなどにしても良し、甘露煮や、昆布巻、煮物、軽くあぶってニシンそばの具にするなど、いろいろな料理に使えます。

その他、干し時間が一週間ほどの「七分干し」もあり、保存期間や用途に合わせて使い分けられます。

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「春告魚」とも書く、ニシンは文字通り春が旬の魚であり、その時期になると獲れたての生ニシン、特に大振りなモノが店頭に並び、焼き魚や煮付けとして新鮮な味を楽しむ事ができます。
個人的には軽く塩を振って焼き、大根おろしを添えてシンプルに醤油で頂くのが大好きです。
脂のノリもほど良く、なめらかな味わいの白身で「しっとり、ホクホク」 少し小骨が気になりますが、数ある高級魚にもヒケを取らない上質な美味しさです。
ニシンが獲り放題だった時代には高価な「数の子」を取ったら、用無しの身の方は捨てていたと言われ、もはや猫でさえ見向きもしない「猫マタギ」と呼ばれていた魚だという説もあるようですが、だとしたら何とももったいない、にわかに信じがたい話しです。

いずれにしても北海道における水産業の歴史にニシンが大きく関わり、その変遷も様々ですが、保存食として古くから加工されていた身欠きにしんは、食の幅が広がった現代人にも受け入れられ、ニシンの 「あふれる旨味」 「味の深さ」 「豊かな風味」 などなどを感じさせる、庶民的な”B級グルメ”として ご飯のおかずに、酒の肴に、未来永劫に受け継がれるであろう、北の海が生んだリーズナブルな「海の幸グルメ」です。

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posted by nadenadeboy at 11:08 | Comment(0) | 水産品 水産加工品 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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